まんが日本昔ばなし「出流原弁天池」
あらすじ
昔々、下野の国(現在の栃木県)佐野市には、旗川の水を使って田畑を耕す人々がいました。ところが、ある年、佐野は日照りが続き、春から夏にかけて雨が全く降らない年がありました。田畑の土は白く固まり、耕すことも種を蒔くこともできなくなってしまいました。
このままでは飢え死にする者も出かねないため、村人たちは村長(むらおさ)の家に集まって相談しました。話し合いの末、村人たちは出流原(いずるはら)の磯山で雨乞いをすることに決めました。
村人たちは太鼓を打ち鳴らし、火を焚いて雨乞いしましたが、なかなか雨が降りません。そこで神様によく見えるようにと、やぐらを組んで、その上に願い文(ねがいぶみ)を結んだ竹竿を立てました。
こうして三日三晩祈り続けたものの、やはり空には雲一つ現れませんでした。村人たちは、とうとう諦めようとしたその時、空の彼方から霧のようなものが現れ、やぐらに近づいてきました。
その霧はやがて人影となり、竹竿に結びつけた願い文を取ると、それを近くの林に投げ込み、自身もその林の中に消えてしまいました。
不思議に思った村人たちが人影の消えた林の中に入ると、そこには白い着物を着た老人が立っていました。老人は自分を力の限り打てば、お前たちの願いは叶うと言うのです。
これを見た村人たちは、震え上がってしまい、老人を打つことなどできません。ところが、ここに一人の気丈な若者が出てきて、「すまねえ!!」と言いながら老人を棒で打ったのです。
するとどうでしょう。不思議なことに、若者が老人を打つと、老人は地面に埋まってしまったのです。そしてその地面からは、勢いよく水が噴き出したのです。「あの老人は、神様じゃったのか?」
この出流原の湧き水は、やがて池となって出流原弁天池と呼ばれるようになりました。そしてこの池は、どんな日照りでも涸れることなく、村人たちは池に感謝したそうです。
教訓
この物語は、困難な状況でも諦めずに希望を持ち続けることの大切さを教えてくれます。また、勇気を出して行動することの大切さも示しています。
村人たちは、日照りが続き、困り果てていました。しかし、村人たちは雨乞いを続け、そして一人の若者が勇気を出して老人を打ったことで、願いが叶いました。
このことから、私たちは困難な状況でも諦めずに希望を持ち続けることの大切さを学ぶことができます。また、勇気を出して行動することの大切さも示しています。
その他
この話は、栃木県佐野市に伝わる民話の1つです。
まんが日本昔ばなしでは、この話を題材とした作品が複数あります。
この話は、テレビドラマや舞台などでも取り上げられています。
参考資料
http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=1344
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動画: